労中思考

実は、接客業でアルバイトをしている。
詳しいことは言えないが、いわゆる"客層"はそれなりに良い方だと思う(それと時給とは全く別の話ですが……)。それでも、たまにというか遭遇しない日はないというレベルの頻度では、感じの悪いお客さんというのは来る。反対に感じの良いお客さんも当然いて、そういう人が相手だとやっぱりホッとする。また状況によっては、このお客がいい人で助かった~などと思う時もある。
少し前まで、感じの悪い客、(上で言う)いい人ではない客に対して、口から出る言葉とは裏腹にこの人のことは嫌いだな、と思ったりしていた(と言ってもそんなことをいちいち気にしていたら働けなくなるので、大抵すぐに忘れる)。
しかし最近になって、その人が感じ悪いのはお店の人に対してだけかもしれないし、たまたまだったかもしれないと思うようになってきた。それに、こちらが勝手に感じが悪い、都合が良くないなどと思っているだけで、こういうことはその職場、そのときの特殊な状況、また単純に個人の感じ方によって千差万別であり、そんな一瞬の出来事でその人のことを自分が評価するなんて出来ないのではないか、フェアではないんじゃないか、と考えるようになった。

こんなことをあれこれと考えているうちに、自然とOさんのことを思い浮かべていた。
とある(本当に残念ながら終了してしまった)番組で、Oさんが飲食店などの会計時に店員さんに対してすごく笑顔で接している、というようなことをその番組での相方が仰っていた。俺はOさんのこういうところに本当に憧れていて、出来ればこういう人になりたいなと思っているのだが、オタクくん(デカい主語)にはなかなか難しくて、挙動不審になったりしがちだ。
ところで、俺はOさんのこういうエピソードを聞いただけで、Oさんのことが好きだなと思うことが出来る。でもこれって先ほど言っていたのと同じように、ある一面からでその人のことを評価しているということになってはいないだろうか?とふと思った。
しかし、このエピソードを聞いただけで好きだと感じるに至るには、この人はこのときこうなのだから、じゃあこういう状況ならこうではないのか、こういう人間ではないのか、などとあれこれ推測したりあるいは願ったりということが頭の中で行われているからだと思う。つまり、このときの感情を紐解くと、一つのエピソードを聞いただけと言いつつ、いろんなことを頭の中で考えて、その上で判断しているのだということに気がついた。
そして、実はここからOさんのことをもっと知りたいと思うようになっていったという事実があり、なのでこれは自分の中ではすごい出来事であり、全く悪いことだと思っていない。
だから、ある一つのことだけでその人のことを判断してしまうことは危険ではあるものの、人間には必要な機能なのではないかと思った。

ちなみにこれらのことは昨日のバイト中、お客さんが来るまで待機するだけの暇な時間があり、特にやる必要のある作業などはないがスマホを見たりは出来ないのでぼーっと考え事をしているときに思いついた。そして俺はこの、特に他にやれることがなくぼーっと考え事をする時間というのが案外好きだ。
さいころは結構いろんな状況でもぼーっと何か考えたりすることが多かったが、もうここ数年は暇な時間があればついついツイッターなどを眺めて情報を脳に垂れ流ししまくってしまう。このことについてはずっと危機感を持っているが、結局やっぱり考え事をする時間というのはお風呂に入っているときか、散歩をしているときぐらいしかない。だから、例えば電車に乗っているときに何か作業をしないようにしてスマホも見ないでいるとか、そういう出来ることが制限されている状況を作っていきたいなと思っている。
またこれも完全に余談だが、こういうことを考えるところにも俺の受け身な人間性が表れていると思っていて、アニメをリアタイでしか見られないとかもここに理由があると思う。


以上です、ここまで読んでくださりありがとうございました。